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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100915-00000001-wsj-int" target="_blank">【オピニオン】民主党代表再選の菅氏、日米同盟強化に指導力発揮すべき（ウォール・ストリート・ジャーナル）


パトリック・クロニン、ダニエル・クリマン



　日本政界の陰の実力者として長期にわたり君臨する小沢一郎氏との民主党代表の座を巡る一騎打ちに勝利した菅直人氏は、指導力を主張するまたとない機会を得た。菅氏はまず、日本の最も重要な安全保障制度 ─ つまり米国との同盟関係 ─ の見直しから着手すべきだ。



　日米安保条約は冷戦のピーク時に調印された。今日、ソビエト連邦は存在しない。しかし、中国が世界2位の経済国家、および厄介な軍事国家として台頭する一方、北朝鮮は核兵器を保有するに至り、不安定な権力継承期に入った。　



　菅氏が代表を務める民主党の一部議員は、国内での集票につながらないとして防衛問題を受け入れない可能性がある。さらに、沖縄に駐留する米軍部隊の移動をめぐる民主党と米国防省の協議をみれば、菅氏も米政府を苛立たせるような行動を取りたくないかもしれない。12日に実施された沖縄県名護市の市議選は、米軍の駐留に反対する市長派が勝利を収め、問題を一層複雑にした。



　日米同盟が抱えるアジェンダの中心は、当然のことながら安全保障問題だ。最も優先すべきは、日本の自衛隊と米軍のリアルタイムの相互運用性 ─ とりわけ情報、監視、偵察の各面で ─ を強化することだ。この種の協力は、日本の平和憲法とその法的解釈がもたらす障害によって阻害される公算は小さい。一方、航空自衛隊の次期主力戦闘機（ＦＸ）に関しては、現在開発中で価格の高いステルス戦闘機Ｆ３５の完成を待つよりも、現有機の暫定的な更新の方が理にかなっている。



　抑止力の継続もアジェンダに含めるべきであろう。オバマ政権が米国の核保有の削減を試みるなか、日本政府は米国が提供する安全保障の信頼性に疑問を抱き始めた。こうした懸念を和らげるため、オバマ政権は核問題を協議するための効率的なメカニズムを設立する必要がある。米政府が4月に発表した「核戦略体制の見直し」（ＮＰＲ）に先んじて行われた核兵器に関する協議は、定例協議として制度化されるべきだろう。



　中国の台頭もまた、大きな影響を及ぼし得る問題だ。現在、日米両国の指導者は中国に関する異なる見方を調整し、共通のアプローチを立案するための適切なフォーラムを欠いている。両国は安全保障小委員会を設立し、望ましい中国の役割に関する共通ビジョンを打ち立て、中国が及ぼす脅威を迎撃するのに失敗した場合の影響を検証するための協議を行うべきだ。特に、領土問題は扱いが難しいが、日米両国は、法の支配の確立、および好き勝手な武力の行使への反対で合意が可能だ。



　数年後、日米同盟は世界共通の利益 ─ いずれの国も排他的に統治していない海、空、宇宙、サイバースペースなど ─ をアジェンダに取り入れて然るべきだろう。世界でも抜きん出た海洋国家の日本と米国は、海賊の取り締まりで極めて重要な役割を担うことが可能だ。巡視船を派遣するのみではなく、主要沿海国の海軍・沿岸警備隊を強化することでこれを達成するのだ。宇宙開発に力を注いでいる国家として、日本と米国は衛星攻撃兵器の先制使用を禁止する条約を支持すべきだ。さらに、世界のＩＴ供給国家として日米両国は、サイバースペースにおける侵入検知の前提となる宇宙状況認識の技術開発に向け、資源をプールすることが可能だ。



　最後に、日米同盟は環境問題をアジェンダに含める必要がある。科学技術で世界をリードしている両国は、協力が可能な特定の分野に焦点を絞るべきだろう。例えば、日本の高い地球監視技術と米国独自のコンピューター・モデルを組み合わせることができる。ほかにもクリーンエネルギーの商業化に不可欠である基礎科学とバイオ技術の共同研究の強化、より安全な次世代原子炉の共同開発、新環境技術の試験場として沖縄を利用する「グリーン沖縄」構想の立ち上げなどを含めてもよい。



　日米同盟は今年50年目を迎える。しかし、この同盟は節目の歓迎ではなく、衰退に対する憂慮や基地をめぐる論争、国内的な懸念や政治的な混乱に埋もれている。民主党代表に再選された菅氏が、変わり行く世界における日本の立場を再定義するため、この同盟が持つ潜在性を理解し始めるよう期待する。



（パトリック・クロニン氏はニューアメリカン・セキュリティセンターのシニアアドバイザー兼アジア・セキュリティー・プログラム・シニア・ディレクター。ダニエル・クリマン氏は同センターのフェロー）



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